憲法は国家を規制する法であってニートは憲法違反ではない

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日本は法治国家でもないし法の支配のある国でもない。そもそも日本人の多くが法治国家の意味を理解していない。

風俗一本で生活できるのっていくつぐらいまでなんだろう

吉原嬢ですが先日勤務先の店が突然警察に摘発されて一夜にして店が系列8店舗全部休業になってしまいました。
向こう一年はまず営業再開の見込みはなくおそらくこのまま潰れるだろうということでした。
幸い私はそのとき店にいなかったので連行されはしなかったんですが、
その場にいた同僚は連行され店長以上幹部はいまだに拘留されており、
男子従業員も即日釈放されましたが逮捕歴がついてしまったそうです。
(略)
ちゃんと法律を守って厳しい環境に耐えて働いているのに、
上層部や一人の従業員の不届きのせいである日突然逮捕されて一夜にして職場が消えるなんて、
こんなこと普通の企業ではありえないと思います。

真っ先に思い出したのはライブドア。一夜にして消えたというわけじゃないけど、突然検察の特捜が押し込んでいきなり状況が変わったのは同様。

法治国家

法治国家(ほうちこっか、独:Rechtsstaat、仏:État de droit)とは、その基本的性格が変更不可能である恒久的な法体系によって、その権力を拘束されている国家。近代ドイツ法学に由来する概念であり、国家におけるすべての決定や判断は、国家が定めた法律に基づいて行うとされる。この国家を理想とする思想を法治主義(ほうちしゅぎ)という。法治主義には形式的に法の形態を具えてさえいれば悪法もまた法となるという問題点があり法の支配と区別されることがある。
上記とは別の定義で、中国の戦国時代の法家が唱えた法治の思想により統治される国が法治国家であり、その思想を法治主義という。

法治国家が権力を拘束しているのは国家であって個人ではない。だからよく聞く「国民には勤労の義務があるからニートは憲法違反」とか「日本は法治国家だから(何かしらで逮捕されるのは)仕方ない」いう人は中学校の公民からやり直してきた方がいい。

最近色々な事件があった。

  • 遠隔操作ウィルスの一件で警察は大した証拠もなく被疑者を拘束し、検察は作文による自白に基づいて起訴をした。後に起訴を取り消したが、推定無罪の原則が働いていないことがまた明らかになった。
  • 東電OL殺害事件で冤罪による長期間の服役をさせられた人が注目された。
  • 起訴されない場合もあるが、起訴された場合には99%以上有罪判決になる。上述の遠隔ウィルスの件や東電OLの件を見てもわかるように、無実なら起訴されないということはないから、無実でも起訴されて自動的に有罪になる場合がある。つまり裁判官に判断能力がない。
  • 裁判官に判断能力がないことで三権分立のうち司法は機能していない。それゆえに違憲立法審査権なんかも形骸化している。一票の格差は違憲だと言うけど、これが精一杯の示威行為であって選挙無効にするほどの力はない。
  • 田中真紀子が審議会の決定を個人のつまんねー虚栄心でひっくり返した。安住幹事長代行が大学の設置基準に一石を投じたなどとわけのわからない擁護をした。

最後の田中真紀子の件は次が詳しい。

3大学不認可問題──問われているのは「法の支配」 — 玉井 克哉

田中大臣の不認可方針は、設置すべきだとする大学設置・学校法人審議会(設置審)の建議を覆して表明されました。設置申請に対する認可・不認可は大臣の権限ではありますが、それは、大臣が個人的な考えで勝手に決めてよいことを意味しません。学校教育法は、大学設置認可に関する判断について、1. 「大学設置基準」という一般的な規範に基づき(同法3条)、2. 設置審に諮問した上で行うと決めています(同法95条、同法施行令43条)。「諮問せよ」と法律が決めているのは、大臣が自分だけの個人的な知識経験で判断してはならない、という趣旨に取るほかありません。それも、大臣が自分のスタッフに個人的に相談するのもダメで、「審議会」という形に組織されたスタッフに相談せよ、と決めているわけです。今回は何の相談もなく審議会の結論を覆したというのですから、この義務に違反します。即ち、違法です。
(略)
このケースは、政治権力に対する警戒心が必要なことを、私たちに教えているように思います。自宅を建築するための建築確認申請に対して、許可権限を持つ市長が「この辺は建物が多すぎる」という理由で突然不許可にしたら、それはおかしいと誰もが思うでしょう。そのようなことがまかり通るのであれば、われわれは、恣意的・専断的な政治権力の行使に対して、常に泣き寝入りを強いられるでしょう。実際、東アジアの近隣には、そういう独裁国もあるようです。そんなことにならないための工夫が、法治主義です。政治権力は危険なものなので、法に基づいて発動せねばならないことにしたのです。

率直に言って、法治主義は、わが国では受けが悪いと思います。今回のケースに批判が多かったのは、田中大臣のやろうとしたことが始めから終わりまで、徹頭徹尾違法であっただけでなく、入試を目前に控えた受験生の立場を何も考えない、恣意的なものだった、つまり多くの人の目に「悪事」だと映ったからだと思います。「田中氏は札幌保健医療大(札幌市)など3大学に関し『3校のどこが悪いなんて具体的に知りませんし、悪いとも思っておりません』と述べ、3校の個別の事情を精査していないことを明らかにした」との報道に、私は目を疑いました。中身を検討せずに「認可しない」と決めたのか、と。しかし、政治権力が「いいこと」をしようとしたときも、「法に基づいていないからダメです」と皆が言うようでないと、われわれは安心して暮らすことができません。いかにも「いいこと」に見える決定を法を無視して行うことの方が、実は危険です。「いいこと」をすることになら、多くの人が警戒心を解くからです。

今回のケースについても、「官僚主導を打破しようとしたからいいのだ」、「政治主導だからいいのだ」という意見もありました。そういう考え方は極めて危険だと、私は思います。法に基づかない支配を官僚が主導しているのなら、それを打破するのは正しいことです。しかしそれは「政治主導」だから正しいのではありません。法の支配を回復するから正しいのです。それを抜きに「政治主導」の名の下に法を蹂躙するのは本末転倒だと、私は思います。

ともあれ、直近だけでも公権力の暴走はたくさんあって、いずれも日本って本当に法治国家か、国民も法治国家を理解していないのでは?というもの。さらに引用した玉井氏によると「率直に言って、法治主義は、わが国では受けが悪いと思います」と言っている。これは興味深いと思った。日本人は政治家も国民も法治国家の意味を理解していないと思ったのだけど、そうではなくて日本人は法治主義が嫌いかも知れないということ。なるほど。

最初の話題に戻ると、風俗店が突然摘発されて職場が消滅することは普通はないだろうという点については、ライブドアを見ればわかるようにある程度の規模の会社でも当局に目を付けられるとお取りつぶしはある。職場が突然消えたのは風俗業だからというよりは、日本で法治主義が徹底されていないから(噂ベースで言うと上納金を渋ったのでは、とか言われている。ソープランドは明らかに違法に足を踏み込んでいるけど、あれは特殊浴場で従業員が一目惚れして男女関係を持っただけみたいな苦し紛れな理由付けで見逃されている)ではないかな。

全体的に日本は憲法軽視だと思う。むしろ「憲法(笑)」みたいなところがある。ブラック企業でもDQN学校の校則にしても、不当なことに対して正当な要求をしても馬鹿にされるだけだし、裁判所も部分社会の法とか言って放置している。法治国家とは放置国家の誤変換かと。

ニートが勤労の義務を守らないのは憲法違反ではないし(むしろ国が職安などを充実させて仕事があるようにする義務がある)、職場がよくわからない理由でつぶされたり、逆に違法である売春とか賭博も一定の業種ではお目こぼしされているというのは法治国家の意識が国民にも政治家にもないからだろう。

じゃあどうすればいいのか、というと法治国家に移民すればいいんじゃないかと思う。日本が好きで日本で暮らしたいのなら、地道に日本が法治国家になるように努力していかなければならないけど、おそらく数百年かかると思われる。