紆余曲折を経て発売延期も乗り越えて、ヒロインの名前も山口音矢から磯鷲音矢に変更してついに発売されたので再掲。
著者の篠山氏の作風はとにかくネタで押しまくるタイプで人によっては圧倒されてしまうことでしょう。最近で言うと『這いよれ! ニャル子さん』がそんな感じだったかな、とにかくパロディが多用されていて、また現役(予備)自衛官ということもあり普通の人が知り得ないことも満載です(守秘義務違反とかそういうのはない)。あと、詳しくは言えないけど彼は意外とインテリなので政治学とかの知識も豊富です。そっちの分野には一家言あるような人も読んで楽しめるでしょう。秀才で変態で狂っているという、なんていうかレザード・ヴァレスみたいな感じの人がラノベを書いています。余談だけど、篠山半太でぐぐると他の出版社に応募した別作品のレビューがあり、そこで「狂っている」と評されています。

「変態」
これ以上に彼を表せる言葉があるとすれば教えて欲しい。
ただの「変態」ではなく、「変態ロリコンストーカーフィギュアフェチ」で「変態で天才」と非常に危険な存在。
変態が賢者の石を得た結果がこれだよ!
(注:賢者の石の存在に係わらず、レザード・ヴァレスは稀代の錬金術師でありネクロマンサーでもある。)しかし、彼のこの性癖・知識がヴァルキリープロファイルAエンディングを目指す上で最も重要な要素になってくる。
レザード・ヴァレスがラノベを書いたらこうなった。いや、レザードは軍事や政治には詳しくないか。
発売されたから少しネタバレ的なことを書くと、読む前はきっと彼のことだから戦勝国が戦勝国は占領地の法律にタッチしてはいけないというハーグ陸戦条約に基づいて、突然総理になった繭川女史が憲法停止でも宣言するのかなと思っていましたが、予想を裏切られた感じ。彼は政治学とか国際法とかあと自衛隊関係は色々詳しく、その知識から紡ぎ出される事実、現在の日本のシステムにはいくつもセキュリティホールがあって、それをhackしたら何が起こるかみたいなことを想像しながら読むとよいかな。作品の中で起きることは非現実的だけど、決して可能性がないわけじゃないあたりが絶妙ですね。ときどきこうして社会のセキュリティホールをhackする人が出てきて(最近で言うとホリエモンとか)、一躍時代の人になったと思ったら逮捕されるわけですが、彼はそのセキュリティホールのexploitを悪用せずに公開したような?このように、ラノベとしても楽しめるけど読み物として買ってみてもいいんじゃないかな、という作品です。
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