《醜活》に殺されるのは世界の広さを知ってからでも遅くはない

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はてな匿名ダイアリに『就活生ですが、自殺することにしました。』というエントリが着いていた。ほぼ同時に『就活に失敗して死にたくなるくらい悩んだら、エジプトのダハブに行ってみるのもいいと思う。』なんてのもあった。関連しているのかと思ったけど、偶発的なものかな。

さて

でも、こんな落ちこぼれた私は、社会にとって必要のない人間なのです。

就職できないことが問題なのではありません。

みんなが乗り越えている「就職活動」ごときで、こんなに病んでしまうことが問題なのです。

私は、社会にででもうまくやっていけないと思います。

こんなことにつまずいているようでは、この先やっていけないと。ふるいにかけられたのだと。

就活をやめるわけにはいきません。

就職できない、親を援助することもできない私は、価値のない人間だからです。

ですがもう、つらくてつらくてつらくてしょうがないのです。

ESを出して、説明会に行って、面接を受けて、作り笑顔をして、思ってもない志望理由をいって、面接官に値踏みされて、「お前は価値のない人間だ!」と通告されることには、もう、耐えられません。

ここで言う『ESを出して、説明会に行って、面接を受けて、作り笑顔をして、思ってもない志望理由をいって、面接官に値踏みされて、「お前は価値のない人間だ!」と通告されること』は《醜活》ではあっても就職活動の全てではないとまず言っておきたい。例えば公務員試験にはESなんかない。説明会は国家公務員の採用にはあったけど、市役所なんかはあったのかな?面接にしたって国家公務員採用とか外資系では1回だけ30分ほど話して祈られるようなこともない。1日でかなりの人数と会って話をする。リク○ートに与えられた採点マニュアルに従って点数をつけて簡単に見切りをつけてしまう人でなし採用ではないところなんていくらでもある。

いま自由の国、アメリカンドリームの国アメリカにいる。アメリカでも5月の雇用統計が予想より大幅に悪かったと問題になっているように失業問題は深刻だ。師匠の受け売りになるけど、アメリカであっても人と同じような行動しかできない人は仕事にありつくのが難しくなっている。企業の求人を探して履歴書を送るだけの人は新卒制度がないヨーロッパでも「15000通の履歴書を送ったけどまだ就職が決まらないんだ」などととよくこぼしているらしい。《醜活》で仕事が見つかればそれにこしたことはないけど、自殺するほどに追い詰められて自分のことを価値のない人間だと思い込むのは間違っている。間違っているのは《醜活》の方である。上手く行かないのであればやり方を変えてみるべきであって、死ぬのはそれからでも遅くはない。

New York Downtown

お遍路に行くよりも台湾

LINEというスマホのアプリを使っていて、最近懐かしい友人がLINE上に現れた。つい先日インストールしたとのことで自動的にアドレス帳から追加されたようだ。

彼は少し代わった人で、大学院を経て職人を志した。職人の世界は早いうちから弟子入りしてなんぼの世界なので、つい先日夢を諦めるかどうかの瀬戸際に迫られたらしい。それで、今の仕事が一段落したらお遍路にでも出かけようというので「お遍路に行っても気分転換になるかも知れないけど、たぶん得るものはないよ。それより1ヶ月くらいでいいから台北に行く気はないか?」と薦めた。台北での生活費は家賃10,000元、食費10,000元、あとはただニートしているだけでは得る物がないので語学学校の学費が3ヶ月で20,000元程度であることを伝えた。3ヶ月で80,000元だから20万円ちょっとで済む。1ヶ月だけならこの1/3程度である。お遍路と比べて台湾で生活すれば、難しい会話は無理にしても旅行する程度の会話力は身につく。あとは少し変わった人間を見る機会がある。もしかすると中国で就職するなんて道も開けるかも知れない。

日本はどちらかというと失敗に対して厳しい国である。新卒で就職できなかった人は、よほど本人の才覚があるとか幸運に恵まれた人でもない限り、10年後も満足な所得が得られないことはロスジェネ世代を見ればわかる。そもそも既卒になると《醜活》ができなくなる。ほとんどの企業のサイトでは学歴を書く欄があって、既卒だと入力のしようがないからだ。また企業の人事に聞いたこともあるが、就職留年はOKだが既卒はどうしようもないと言われたこともある。では中途採用で入れるかというと、今度は「この履歴書の空白を説明して下さい」とか「職歴がないと応募できません」とかネチネチ言われる。そこを何とかする人も僅かながらにいるけれど、ほとんどの人はそうした壁の前にフリーターとか派遣といった収入も少なく、社会保障も薄く、身分も不安定な雇用にしか就くことができないでいる。

『20歳のときに知っておきたかったこと スタンフォード大学集中講義』という本では、失敗を許容する社会がある一方で、一度失敗したら徹底的に周囲から叩きつぶされる社会もあること、失敗を許容する社会では「一度も挫折したことのない人を見ると、経験から何かを学べたのだろうかと不思議に思う」のような考え方が普通であり、ちょっと失敗したくらいでその人を全否定しないといったことが書いてある。残念ながら日本は失敗を許容しないほうの社会で、多くの人はいかに無難な人生を歩むかばかり考えている。日本人の多くは一度大きな失敗(《醜活》に失敗するとか)すると人生に絶望したりするけど、そういうときは外の社会を見てくるといいと思う。個人的にはシリコンバレーお勧め。

アメリカで就職できるか

アメリカは学歴社会なのだけど、日本とは少しばかり意味合いが違うようである。弁護士もののドラマなんかを見ていると「あなたのロースクールは全米103位ね」とか言われることもあるけど、理科系ではあまりないように思う。東大法学部を出ていてもソフトウェアエンジニアを目指す場合は高卒扱いされるし、逆に名もない大学でも専攻と仕事が一致していればそれなりに評価される。あと日本で否定的な学歴ロンダリングも心を入れ替えて頑張った的に評価されるように思う。日本のようにあとから頑張っても一度失敗した人はゴミと考える習慣が希薄のようである。

『理系院留学 AL』というブログによれば、

アメリカ留学後の進路

卒業は12月を予定していますが、ここ最近でアメリカでの就職が決定し、
卒業後はOPTを使って少なくとも12ヶ月はアメリカに残ることとなりました。
職種はソフトウェアエンジニアです。

自分の中ではPhDも考えていたのですが、実務に対する興味関心が大きかった
(あとOPTは学位ごとにでるから修士->OPT->phd->OPTもできる)ので、
卒業後は就職という道を選びました。

これで文系学士->アメリカでCS修士->そしてアメリカで就職という
自分のひとまずの目標は達成されたこととなります。

これによって学士卒時点で知識ゼロ(専攻の変更による)といった自分のような
スペックの人間でもこのような道があるということを示せたかと思っています。

入学できました

※追記:おそらくアメリカンのトップスクールでないマスターはほぼ全入っぽい。多分よっぽど書類が酷くないならば全員。上記の自分のステータスで合格したことがそれを物語っている。

とあるように、専攻によらず景気のいいコンピュータサイエンス界隈の大学院に進学して仕事を得ることは十分に可能のようである。TOEFLの点数が110点とかはんぱない水準を要求されることもない。

以前のエントリで書いたけれど、最近University of California, Santa Cruz(UCSC)のExtensionの入学基準にTOEIC 760以上が追加された。これはそんなに高くないハードルである。UCSCのExtensionでコンピュータサイエンスを9ヶ月勉強するとOPTという1年間アメリカで働ける制度に応募できる。いまさら大学院には行きたくないという人にはお勧めである。C++のような基礎から、iPhoneプログラミングみたいな最近のトレンドまで色々なコースがある。OPTで仕事を見つけたらH1Bビザのサポートをしてもらって就労ビザに切り替えればいい。それから必要があれば永住権を申し込む。

ニューヨークでの生活費

来てみて思ったけど、そう高くもない。クイーンズあたりでルームシェアをすれば月に600ドル程度で住めるので、今の円高だと48,000円と言ったところ。都内に住むよりよほど安い。また家は日本の家より一般的によいと思う。台所もバスタブも洗濯機もネットも全部揃っている。無線LANがないから無線LANルータを買ってきたりケーブルを引いたりはした。このようにシェアするからと言ってそんなにひどく窮屈な思いをすることもない。おいらのシェアの相手は警備員の仕事をしていて、夕方出かけて深夜戻る。おいらは朝出かけて夕方戻り夜には寝るからすれ違い生活で、シャワーとか台所の使用がぶつかることはない。実に快適なニューヨーク生活である。

台所があるから自炊が可能で、食費を抑えることが可能。1ヶ月乗り放題メトロカードが104ドルだっけ、最近値上がりしたらしい。あとは携帯がAT&Tで月50ドル。ただしAT&Tはひどい。これが先進国の携帯かと思うほど電波事情が悪い。ソフトバンクが糞とか言っていたら罰が当たる。Verizonあたりにすればよかったが、電波の規格が違う(CDMA2000)なので今のiPhoneでは使えない。iPhone5にでも買い換えるかな。

そんなこんなで来てみると、来る前に比べて安い生活費で何とかなることに驚いている。それでもアメリカは生活費は高い方で、前述の台湾の方が気分転換および急成長する中国の標準語を覚えるという意味では台北の方がお勧め。

外国で家を探すにはまず来てみてドミトリーとか安宿に泊まる。日本人が多く集まるところなら言語的にも楽に情報交換できるだろう。次にネットと携帯を用意する。ネットは宿にあることは多いから携帯かな。携帯もSkypeがあれば何とかなるけど。そしてcraigslistのようなものを使って片っ端から「これから見に行くけどいい?」みたいに電話をする。突然音信不通になることも多く、何股もかけるのは普通である。相手も何股もかけていることが普通なので、メールで「お返事待ってます」みたいにやっていると全然話がまとまらないので注意。おいらは外国語能力が不足しているので電話越しの交渉は苦手だったけど、これは仕方がない。

渡航費は親とか親戚の家に置いて貰えるのであれば、バイトをみっちりやれば月に20万円くらいは貯められるだろう。1年頑張れば240万円貯まるので、これだけあればアメリカに来てもしばらくは大丈夫だ。台湾なら半年で1年間語学学校に通いながらそんなに侘びしくない生活ができる。

人と違ってもいい、レールを踏み外してもいいことを実感しよう

国外の明るいムードの国でしばらく過ごすことはいくつもメリットがある。まず人生に絶望しなくなるだろう。日本だと周りがみんな《醜活》していて《醜活》に失敗したら負け組みたいな雰囲気があるかも知れないけど、他の国に行って「既卒になったら人生終わりなんだよ」とか言っても「?」という顔をされる。当事者にとっては生死をかけて悩むことでも、少し離れたところから見たら何がそんなに深刻なのかわからないこともある。

就活に失敗して死にたくなるくらい悩んだら、エジプトのダハブに行ってみるのもいいと思う。』では

ダハブを勧める理由

エジプトのダハブを勧めている理由は、海が最高に綺麗なことと、物価が安いことが挙げられる。上記に載せた写真からわかるように、海も、珊瑚礁も、魚も想像を絶するくらいに綺麗。気候もかなりいい。そして何より、凄まじく物価が安い。宿も円高のおかげで一泊120円くらいだし、複数人で料理をすれば、がっつり3食食べて一日150円なんて余裕。食も美味しい。そして、ダイビングのライセンスも3万円ちょっとで取ることができる。きっと、あの紅海の神秘を体験したら、自分の悩みがいかに小さいものだったか思わせられる。

ダハブでは、別に何もしなくていいし、何をしてもいい。というか、あまり観光地化されていないので、することがない。日中1時間くらいダハブの海で浮かんで、ぼーっと太陽を浴びてみるのもいいと思う。宿にある漫画を一日10冊ずつ読んで、小説を読んで、ネットをぐるぐるして、今日一日宿から一歩でなかったよ、ってのもいい。海に飽きたら、シナイ山を登ってみるのもいい。

とある。「自分の悩みがいかに小さいものだったか思わせられる」は同意だけど、人生のある程度の時間を使うのだから次に繋がる技術が身につくところがよいと思う。台湾とアメリカは中国語と英語で喋ることに慣れるという点でお勧めである。台湾はあまり就職には向かないので、中国語を活かすなら日本で中国語の分かる日本人を求めている会社に入るか、あるいは大陸に渡ることになるだろうか。アメリカの場合は専攻によってはチャンスがある。そのためには大学院などに進学することも必要になるだろうし、お金は結構かかる。こうした事情は色々な人と話すと、意外な解決法が見つかる場合もある。奨学金が出るとかね。

色々な人と話して、他にチャンスのありそうなところはオーストラリアとカナダあたり。シンガポールは徐々に厳しくなっているらしいから急いだ方がいいかも知れない。

ともあれ、あちこちに行ってみて、色々な人と話すと自分の悩みが何でそんなことで悩むのかと言った程度のことであることに気づくかも知れない。また、色々な打開策が見えてきたり人の経験を聴くことができる。冒頭で述べたように人と同じ行動しかできない人は、アメリカやヨーロッパでも就職には困っている。だから、行き詰まったときには人と違ったことをしてみることも大事だし、それでいいのだと思う。