非正規労働者の20年後

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マスターキートンの続編が出るらしい。

「MASTERキートン」の続編が執筆決定!舞台は20年後

浦沢直樹・勝鹿北星「MASTERキートン」の続編が執筆されると、本日2月29日発売の完全版8巻帯にて発表された。続編のタイトルは「MASTERキートン Reマスター」、作者クレジットは浦沢直樹・ストーリー/長崎尚志と表記されている。

帯では「20年後のキートン!!」「今もヨーロッパ古代文明を追いつづけているのか、今も危険な探偵稼業をつづけているのか」と、物語の舞台が20年後であることを示唆。続編は3月19日発売のビッグコミックオリジナル(小学館)に掲載される予定で、連載か読み切りかといった詳細については触れられていない。

キートンが連載されている頃は非正規労働者という言葉がなかったと思う。その後、フリーターというのは会社組織に縛られないような自由なイメージで語られ、実態は若いうちは安く体よくこき使って、少し年を取る(と言ってもまだ20代だったり)とポイ捨てされるわけだけど。

キートンは日英ハーフで英語や日本語はもちろん、ウイグル語のような言語までかなり流暢に使いこなし、SASでは英雄だった経歴もありかなり強いし何でもできる。頭も切れるし、オックスフォード大学卒業のエリート。こうしたエリートが月に25,000円の給料で働いているという非正規の星なのである。

なにかと今の日本では非正規労働者を「自己責任w」とか言って見捨てたりする。いま就職活動をしている学生もあと4年くらい早く生まれていたら、小泉内閣末期の超売り手市場に就職活動をしていたはずだから、きっと「受けたところ全部内定ですよ」とか余裕ぶっこいていられたはずだ。

よく景気が悪くても就職している人がいるという。確かに図抜けて能力が高い人ならばどんな状況であっても成功するであろうし、その逆でどんなに外部環境がよくても駄目な人もいるだろう。自分の能力が[高い|低い]ことによって結果が決定づけられるような人はごく一部の[エリート|ヘドロちゃん]だけであって、ほとんどの人は外的要因に振り回されているだけである。

ほとんどの外的要因で振り回される人はかなり多く、並みの有名大学の学生程度では今の状況では苦戦を余儀なくされる。内定を採れたとしても4年前に卒業していたら数段いい会社に入れて、よい待遇を享受しているはず。椅子取りゲームなのだから、椅子の数だけは誰かが条件のいい職場に採用される。景気によって椅子の数が増えたり減ったりする。多くの氷河期でもいいところに内定が採れた「優秀な人」はうまいこと椅子に座った人も含まれる。

キートンは東大卒でフリーターをしている人の走りなのである。いや、彼は並みの東大生よりもずっと能力は高いけど。その彼が20年後にどうなっているか。作中のキートンは35歳くらい(20歳のときに生まれた娘が中学~高校くらい)なので、いわゆる「職歴なし既卒35歳」の20年後となると、そりゃあもう目も当てられないことになっているかも知れない。

ま、彼ほど能力があればいかようにもやりようはあると思う。彼にはドナウ文明の起源を探るといった夢があって、そのために割のよくない仕事に従事しているところがあって、その気があればいくらでも稼げるはず。先ほどの言い方をすれば、彼は景気に関係なく成功できる能力の持ち主だからだ。国籍はイギリスだし、言語にも不自由はないし「職歴なしはゴミ」みたいな人でなし社会の日本で生活する必要もない。

ところで、原作者が既に亡くなっているキートン、作画は同じ人であっても、二次創作のようなものになってしまうのかな。だとしたら、かつてのような名作にはなり得ないかも知れない。二次創作だからって上手く行かないというものでもないけど。