強い企業の条件についてニートが考えてみた

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GT-Rというブランド

今週のトップギアはスピードを極めたジャガーXKR-Sと日産GT-Rを比較する試乗レポがあった。

最先端技術を詰め込んだ究極の1台です

よく日産についてはカルロスゴーン社長が来たことによりダメになったという声を聞く。でもそれはどうだろうか?実際、GT-Rのような世界に誇れるような車を作っているのはゴーン後の日産だ。それ以前の日産というと好きな人も多いだろうけど、シルビアとか180SXとか走り屋を名乗る暴走族御用達のプレミアム感のない自動車メーカーという感じだった。もちろんスカイラインGT-Rも以前からあったのだけど、これもスカイラインの特別版という位置づけであったように思う。評判の悪い4代目のR33型はなんだっけ、確か日産のおっさんセダンをベースに作られていた。開発車は本気でやっていたかも知れないけれど、経営陣の判断はそれほど本気ではなかったのではないか。おそらく本気でフェラーリとかポルシェとかアストンマーチンと張り合う車を作ろうとはしていなかったと思う。現場はともかく。これらの魅力に乏しい車をゴーン社長は生産中止に追い込んだ。ビジョンのない顧客は魅力のない車の生産をやめたゴーン社長をデストロイヤーのように受け止めた。曰く、赤字体質に歯止めをかけたと言ってもあいつは大したことをしていない、コストを削って会社をガタガタにしただけだと。本当にそうか?

日本企業にありがちなのはブランドを大事にしない姿勢だ。GT-Rというブランドがあるのに、経営陣は沢山売れる荷車ばかり関心があって本格的スポーツカーにはあまり入れ込まない。ところがゴーン社長になってからヨーロッパ的なブランドを大切にする考え方が経営に組み込まれたと思う。

ゴーンが来てから日産はダメになったという人は何が気に入らないのかわからない。単に社長が日本人ではないというだけで文句を言っている節すらある。グローバル企業で経営層が自国の人だけというのは極めて変な話なので、そこに抵抗しているのはセンスがない。よく「乗っ取られた」という言い方をする人もいるけど、植民地になって搾取されるのではなく、実際に日産は以前よりよい状態になったはずだ。

赤字企業が相次いでいる

NECが1,000億円の赤字を出したらしいし、シャープにいたっては2,900億円という時価総額の半分くらいに相当する大赤字を出している。確か今のシャープの時価総額は6,000億円くらい。最近話題になっているfacebookは7兆円を超える見込み。このままでは日本の製造業はほとんど潰れてしまうのではないかと懸念するほど。

ところでシャープはともかくNECって何を作っている会社なのだろう?スーパーコンピュータを作っていたのを覚えている。昔はPC-9801という「国民機(笑)」を作っていたことで有名だけど、Windows普及後はたくさんあるメーカーの1つでしかないし、個人的にはPCを買うときにNECはまったく候補に入らない。どこが魅力なのか全然分からないからだ。ルーターとかプリンターとかあれこれ作っているけど、ひっそり作っている感じで、もし買うことがあるとすればkakaku.comで探して一番安いのがたまたまNECだったときくらいだろうと思う。無節操に多角化しているけど、どの分野でも影が薄い印象だ。ともあれ、GT-Rのようにブランドを指名買いするような企業ではないと思う。

ただB2Bではまだ一定の影響力はあるかも知れない。

費やした55億円、水の泡に 特許庁がシステム開発中断

特許庁は24日、2006年から始めた新たな情報システムの開発を中断することを決めた。これまでに55億円の予算を投じたが、別のシステムを考える。枝野幸男経済産業相は「大変申し訳なく思う」と謝った。

新システムは特許の出願や登録に使い、中国の特許情報を調べられ、国際化への対応もねらっていた。開発の遅れで、特許を申請する利用者は、機能の低い古いシステムを使い続けることになる。特許庁は中国の情報検索などができる最低限のシステムに絞り、別の方式で開発する。

新システムの開発期間は06年12月から14年1月。設計を東芝ソリューションと、開発管理をアクセンチュアと契約した。

どういう理屈か知らないけど、日本の政府とか企業がシステムを発注する際には出来レースのようなものがあって、なぜか日本企業が受注するのが普通になっている。この特許庁のシステムは東芝だし、こないだシステムが止まった東証のarrowheadは富士通が作っている。富士通が作ったシステムがまともに動くわけがないとよく揶揄されるのに最後に勝つのは何故か日本企業なのである。

日本の企業が作ったシステムがなぜまともに動かないかというのは、SIer業界の重層下請けゼネコン構造にあると言われる。実際、就職活動をしている学生がITだけは行きたくないとよく言うけれど、その程度の業界なのである。

特許庁の基幹システムはなぜ失敗したのか。元内閣官房GPMO補佐官、萩本順三氏の述懐

また、この問題には、日本独特のSIerとの契約形態が絡みます。この契約形態こそ日本のIT技術を駄目にしているもので、まだ要求の価値も見いだせない段階で、要求を定義していく過程で絞り込みができず、要求の量が爆発的に増大。そして、その爆発した要求に対して工数を見積もるような慣習です。それがプロジェクトを超大規模化させる原因であり、IT業界が価値を生み出さず、3Kと言われる屈辱的な状況を作り出している。

よくこの手の業界では人月という単位で計算をする。1人が1ヶ月働くと1人月である。受注の段階では1人月150万円だとする。しかし実際に開発している人が受け取る給料は月に20万円を切っている。なぜこのようなことになるかというと、コピペだけど

★★★★★★★★★★★★★★★IT業界の仕組み★★★★★★★★★★★★★★★ 

お国がシステム発注 
適当に1人月70万円で 
 ↓ 
大手IT会社 
1人月50万円で 
監視をつけて丸投げ →中堅IT会社 
             作業場提供 
             1人月40万円で人集め 
                 ↓ 
             ブローカー5%手数料 
                 ↓ 
             ブローカー5%手数料 
                 ↓ 
             ブローカー5%手数料 40歳以上は 
                 ↓         ブローカー 
             ブローカー5%手数料  ←┐ 
                 ↓            | 
       底辺IT会社(事実上の派遣会社)  | 
              給料15万円   → IT土方 
                      作業場に遠距離通勤 
                      残業代は月の労働時間が 
                      200時間を超えたときのみ 
                      ※MAX50時間 

とか

①エンドユーザ 
 ↓ 
②大手SI (年商数千億~1兆クラス、単価150~200万) 
 ↓ 
③大手SI子会社、中堅SI (年商数百億クラス、単価100万~120万) 
 ↓ 
④中小SI (年商数十億~二~三百億クラス、単価80万~90万) 
 ↓ 
⑤零細 (年商数億~十億クラス 単価60万~80万) 
 ↓ 
⑥カス会社 (年商数千万~数億クラス 単価50万) ← カーネル 
 ↓ 
⑦フリーランス (単価40万) 

で説明されるように中抜き、中抜き、中抜きでどんどんお金が抜け落ちて、実際に開発するのは安い労働力でろくにコードも書けないような人がやっているところも多いらしい。《醜活》によるSPIレベルの理解があればOK採用をして、情報工学系でもなんでもないコンピュータなんて携帯メールくらいしかしませんって人を雇用して2ヶ月くらい研修をしてプロのSEですと名乗るような会社がたくさんある。最初から1人月150万円で受注するのなら一人あたり100万円くらい報酬を払えば優秀な技術者はたくさん集まるであろう。

年収1億稼げる(かも知れない)仕事術

「私は、30年程度プログラミング経験があります。平均的なエンジニアの3倍以上の速度でプログラムを設計し、コードを書くことが出来ます。しかし電話のやりとりやメールのやりとりが極端に人より速いわけではないですし、理解速度が人の3倍速いわけでもないので、大局的には2倍ぐらいの実効値であると仮定しましょう。

次に、私は毎日15時間のデスクワークをすることが出来ます。普通の人が毎日15時間も働けば過労死してしまいます。しかし、私は決して過労死しません。何故なら、デスクワークをすることに何のストレスも感じないからです。

《昨日のエントリの文章がいくつかここに入る》

つまり、(ワーストケースでも)2倍の3倍で、少なくとも人の6倍の仕事量がこなせます。平均的なエンジニアへの支払いが40万だとしたら、その6倍で月に240万円相当の仕事をこなせます。ここまではご理解いただけますか?」

「ああ、なるほど」と言う返答をもらう。それを確認して、私は次のように続ける。

「私が一人でプログラムを書く時は上司に進捗を報告する必要もなければ、部下の進捗を尋ねることもありません。また同僚と共同作業をすることもありません。同僚にプログラムの構造を説明することもありません。

エンジニアが二人以上で作業する場合、同僚にこんなプログラムを書いてくれと伝えるのにとてもロスが発生します。平均すれば2割ぐらいのロスがあるでしょう。二人は1.6人分しか働けません。

10人のチームではそこに加えて進捗報告の時間やグループミーティングの時間が発生しますし、各自がそれぞれ等しく新しいテクノロジーを学ばなければならないため、学習コストが10倍になります。しかも途中でプロジェクトから抜ける人の引き継ぎをしたり、設計が破綻していて完成しないリスクだってあります。

つまり、収穫逓減があり、人数が増えてくるとロス率も上がります。10人ぐらいの平均的なプロジェクトでは4割程度のロスが出るのが普通です。すなわち、10人居ても6人分しか働けていません。これでは私の作業スピード(6倍)と同じです。

ところで最近、大阪の橋下改革が進んでいる報道をよく聞く。公務員はろくに働かずに貴族のような生活をしていると批判されるけど、働きに見合わない給与を得ている人は日本にはたくさんいて、公務員以外にも上記の説明で「ブローカー5%手数料」を取って下に投げるだけという会社が何重にもある。こういう不労所得を得ている人がたくさんいるから日本は人口に比して生産力がない。

少し話がそれたけれど、日本のB2Bは義理なのかバックマージンなのか何なのか、ある特定の会社に「受注することになっている」ことが決まっているらしい。

これは別に大企業限定ではなくて小学生でも気づくような基礎的な仕組みである。ある小学校の校門の目の前には小さい店があって、印刷に使う用紙やインクから、音楽で使うハーモニカや笛、筆記用具などに至るまで何でも取り扱っている店がある。この店の店主は大変態度が横柄で子供ながらに嫌いな店だった。ただ、急いでいるときに何かを買いそろえるには便利な店なのでどうしても使わざるを得ない。学校もこの店から色々仕入れる「ことになって」いた。子供は別にこの店で買わなくてもいいのだけど、学校側はこの店から買い続けるわけだからこの小さな店は小学校がある限りは安泰である。もちろん、店側も何か学校の教員にゴマを擦ったり苦労をしているのかも知れないけど、営業努力をしなくても安泰な会社があるという日本社会の縮図は小学校の事務用品の受注でも見ることができる。

そういう事情で上流の方は比較的仕事にはあぶれにくい。その上流がこれだけ赤字を出すということはかなりまずいのではないかな。

大阪では橋本市長がろくに働かないのに高い給与を得ている人を一掃しようとしている。そうした改革者がいないと日本は食いつぶされてしまうことは目に見えているのだが、何故か民間企業ではそれが放置されている。おいらは《醜活》による採用なんかやってるから業務効率が悪いのだと思うけど、大局的には経営者がアホだから悪いのかも知れない。大阪の橋本市長のような改革者が企業にも必要で、それは日産のカルロスゴーン社長のような人なのではないかなと思っている。日本は技術立国を謳っているのだから、件のトップギアのように「最先端技術を詰め込んだ究極の1台です」と海外から評価されるようなものを作るべきなのである。

『優秀な技術者を「一円も価値を生まないセクター」に幽閉する愚行』

ちきりん(ちきりんさんだと変なので以下敬称略)のブログで『優秀な技術者を「一円も価値を生まないセクター」に幽閉する愚行』というのがあった。

ソニーで働く人達は、新卒入社の段階では日本で最も優秀なエンジニアの卵だったはずです。その人達が一生懸命働いて8年間、一円の価値も生んでいないなんてびっくりです。

想像してみてください。一流大学で修士課程まで学び、25歳で日本を代表する企業に選ばれた優秀な若者が、33歳時点で「まだ一円も稼いだことがない」んです。

もちろん給与も賞与ももらっているでしょう。でもそれは他部門の人が稼いだお金から、もしくは、過去の人が稼いでおいてくれたお金(留保分)から、もしくは借金から、まわしてもらったお金です。

人件費は企業にとってコストであることを無視して煽ってる感じ。うんと単純に言うと1,000万円ぶんの価値を生み出した労働者に1,000万円の給料を払ったら会社としてはプラスマイナスゼロである。このとき「一円の価値も生んでいない」のは労働者ではなくて企業。

企業というのは収益力の増幅装置である。例えば技術はあるけど非コミュの人と、技術はないけどコミュ力抜群の人がいたとする。これらの人がバラバラでいたら二人ともお金を稼ぐことはできないかも知れない。そこでこの二人が協力して技術のある人がものを作り、コミュ力のある人が売る。アップルのウォズとジョブズのようなコンビを想定すればいい。こういうマネジメントをするから1人平均2,000万円稼いでいるのに給与は1,000万円しか配分しないことも容認される。上手にマネジメントをしてくれる企業があることで色々な個性のある人がいる社会がうまく機能するのである。

だから企業が8年間赤字というのは企業が「新卒入社の段階では日本で最も優秀なエンジニアの卵」を使えなかった結果であって「その人達が一生懸命働いて8年間、一円の価値も生んでいない」わけではないのである。赤字企業だって商品を売ったりサービスを提供したりしてそれによって満足している人がいるはずだから、なにも価値を生んでいないわけはない。

ちきりんの意見がおかしいのはたぶん就職活動と就活(区別のために《醜活》と書く)の違いを理解していないからだと思う。世界中に就職活動をしている人はいるけど、《醜活》がある国はそんなに多くない、ひょっとしたら日本だけかも知れない。《醜活》の何が悪いかって、エンジニアを採用するのに小学校程度の算数ができるかどうかしか見ないとか、時間をかけてじっくり面接するのではなく、何十社もリクスー着てぐるぐる回るような徒労を強要する点にある。前述の通り、企業というのはマネジメントを通じて収益力を大きくする装置なのだけど、その最初の段階である人を集めるプロセスに真剣に取り組まないことが《醜活》というわけ。

でも、件のエントリの結論

自分の仕事に置き換えて考えてみて下さい。過去8年間、一円も儲かっていなかったらどう感じますか?成長できますか?やる気を保てますか?自分は意味のある、価値のある仕事をしていると胸を張れますか?

こういう状況に、日本で最も優秀な人達を幽閉していることの罪は、余りに大きいと思うのです。なんで彼らがこんな「罰ゲーム」みたいな部門で、働き盛りの8年間もの期間を無為にすごさねばならないのでしょう?

「人材しか資源がない」と言われるニッポンで、優秀な人材をずっと儲からないセクターで囲い込む。この壮大なる資源の無駄遣いこそ、日本経済が未だ浮上できる兆しも見せない大きな要因のひとつだと思います。

は概ね正しいと思う。日本人はバカでゆとりで高コストだから外国人を雇おうという会社が増えているようだけど、問題は会社側がその運用を間違えている点にある。どんなに高級食材を使ったとしてもシェフが下手くそではできあがったものはまずい料理になる。ただ、人間は食材とは違って能動的に動けるので、そういうところから離れるのがよいのだろうけど、そうした意志を奪って集団として画一的な動きを強要するシステムが《醜活》なのである。例えば新卒で就職し損ねたらほとんどの人は一生まともな生活はできないと恫喝されて《醜活》を要求されている。このため「優秀な人材をずっと儲からないセクターで囲い込」まれることを避けようとするより、とりあえず新卒時には「ずっと儲からないセクター」に入った方が安全だし、一度就職したら終身雇用のレールに乗った方が無難なのである。