東大の秋入学はよいことだけど、東大が壊れるかもね

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東大「秋入学に全面移行」案 中間報告、学内なお異論も

いま東京の進学校というと、筑駒とか開成が思い当たるだろうけど、かつては都立日比谷がその位置にいた。ところが都立高校は学校群制度などの入試改革をして、結果的に生徒にそっぽを向かれ、かつてなら日比谷に行ったであろう生徒が今では筑駒とか開成に集まるようになった。

※いまの日比谷高校は筑駒中から進学する人がいるなど、かつての勢いを取り戻しつつあるらしい

つまり、学校のレベルというのはハコで決まるわけではなくて入学する生徒のレベルで決まる。当たり前だけど、多くの人はこのことを忘れている。○○大学は偏差値65とか言うけど、大学に偏差値なんてものはない。ここ数年の傾向から模試で偏差値65を取っていれば合格は堅いというに過ぎない。受験者の分布のうち、上から定員分を合格にすると全国の受験生を母集団とした際の偏差値65あたりが合否を分けるラインとなるのだが、多くの人は学校の側に偏差値というのがついていると思っている。

で、入学する生徒のレベルで学校のレベルが変わるとすれば、東大を3流大学にするのは実に簡単なことだ。かつて東大に入っていた学生が「もう東大はダメだね、他の○○大学に行こう」と思うようになれば自ずと大学はダメになる。大学側は認めたくない事実だろう。我こそは日本一の大学であり、国から膨大な補助金を受けて左うちわで大学経営をしていると思ったら、実は入試で審査している受験生の側から審査されていたというわけだ。受験生が見限ったら大学は終わりである。

さて、どうやって生徒にそっぽ向かせるかというと、日比谷の事例を見ればわかるように入試をいじればいい。東大の秋入学というのは入試ではないけど、入り口の改革である。一歩間違えると優秀な学生が入学してこなくなる。

この改革の敵は宗活である。ストレートに言えば「就職に不利になるなら東大よりも○○大に行こう」と思う生徒が増えれば東大の受験者のレベルは下がり、日本一の大学から転がり落ちる。それでも理系は研究費などの予算が潤沢だから東大はしばらく強いだろう。特に大学院はね。大学院重点化は秋入学で完成するかも知れない。

東大はキャンパスを歩いていても、司法試験がどうこうとか、外資系企業がどうこうとか、国家公務員試験が云々という話題が多い。他の大学の話を聞くと、たとえば法学部の学生でも1年制の頃からそもそも司法試験なんか受けるつもりがないって学生がほとんどらしい。なんで法学部なのかというと文学部は就職にふりだからとかそういう動機が多く、別に法学に関心があったわけでもない人が多い感じ。少なくとも自分の交遊関係ではそう。

今のところ東大は宗活に冒されている度合いは小さい。もちろん民間企業に就職する人は相当数いるから無関係とは言えないけど、それ以外の進路を考えている人は多い。特に受験生の段階だと高い志を持っている人は多いだろうから、宗活に不利になると予測したとしても「自分は司法試験を受けて裁判官を目指すから関係ないや」と思って意に介さないかも知れない。

そうだとしたら東大の勝利だ。他の大学が秋入学に踏み切れないでいる間にさらに大きく差をつけることができる。大学の中には宗活の邪魔をすると学生やその親から文句を言われるので3, 4年は軽めのカリキュラムにするところも多いらしいからね。就職予備校としての大学は就職できなかったら存在価値がない。つまり企業と大学の力関係は圧倒的に企業の方が強い。

現状ではこっそりやっている学歴フィルタリング、ネットでは虚偽のエントリーをしてどこがフィルタリングのラインかを探る人がいる。ないとは思うけど、キヤノンがやっているような

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キヤノンの説明会応募ページ、学校名ごとに入り口が異なり「その他」は満席

がより一般化して「○○大学は来年度の採用選考の対象外とすることにしました」と堂々と企業が上から目線で言うようになったとすると、有名企業から採用対象外と言われた大学は崩壊すると思う。就職するために進学しているのに対象外となったら人気はがた落ちになる。現在一流大学と呼ばれている大学ですら、一発で三流大学になる。そのくらい企業と大学は力関係に差がある。

東大の場合はそこんとこ、まだ勝負になるかなという気がする。けれど、宗活がある限りは東大のライバルは世界各国の一流大学ではなくて、日本の民間企業の採用にあることを忘れてはならない。