海外では日本のテレビを自由に見ることができません。何かの業者がそう言うサービスをやっていたら逮捕されたらしいので、ちまちま自分でやるしかありません。
2011年1月18日、日本のテレビ番組を海外在住者にインターネットを通じて有料で転送する業者のサービスが著作権法に違反するかが問われた裁判で、最高裁は同法に違反するとの判決を言い渡しました。ただし個人が私的利用の範囲内で番組を別の場所に転送することは、著作権法に抵触しません。
著作権ヤクザって何のためにいるのかわかんない。iTunes Storeの成功を見ればわかるように、緩いプロテクトでも面倒な思いをしてアングラから違法ダウンロードをするより、購買層は大人しく正規ルートで買うことはほぼ確認されているのだから、もっと自由にすればいいのに。出版にしてもテレビにしても、草食系の食われる心配ばかりしていて逃げ回っていて、顧客からすればそっぽ向きたくもなります。
もうテレビ離れの進んでいる人はたくさんいるし、本も何時までも自炊するしかないような状況を放置すると衰退するのではないかと。
アースソフト PT2
鍵になるのはPT2です。
あちこちに解説ページがあるので詳しくはそちらを見て下さい。簡単に述べると、地上デジタルや衛星放送はARIB STD-B25で暗号化されていますが、これは既に破られています。
ただし家庭用のレコーダで録画すると、ARIB STD-B25を復号して直ちに別の暗号を掛けてしまうので取り出すのが厄介です。また家電ですので自由にいじるのも難しい。そこでパソコンにPT2を接続して放送を直接記録してしまうことになります。
他にB-CASカードやカードリーダなどが必要になります。昔はPT2は転売屋が買い占めて高値で売りさばいていて入手は面倒臭かったけど、今ならAmazonで定価で買えるのでいい時代になったものです。
サーバ
適当なサーバを用意します。それほど高性能でなくてもOK。ポイントは
- PCIバスがあること
- 電源やBIOSが新しいこと
- 省電力・静音であること
- できれば小型であること
このくらいかな。3.5インチのHDDは2TBが6,000円くらいと激安なのでこれを1つ入れておけば充分でしょう。
まずPCIバスがないとPT2が接続できません。USBがついていないパソコンはもうないだろうから、ここは心配しないけどカードリーダーはUSB接続が多いのでUSBは必要です。あとLANもだけど、これも大抵ついているでしょう。
電源やBIOSが新しいのはちゃんと正しくスリープモードになり、復帰してくれるかということ。あとWake on LANに対応しているのも大事です。
Linux
最初に試したのはLinux。CentOS 5.6が出たというので試してみたのだけど、色々と出来が悪いというと失礼かも、Ubuntuと比べて不親切だと感じたのでUbuntuに。
Ubuntuでもあちこちにある情報を拾ってドライバを入れていけば録画はできる。ただし最近のUbuntuではPT2のデバイスがDVBとやらになるので、PT2をブラックリストに入れてDVBになるのを回避することだけがポイントみたい。そこさえ気をつければネットの情報をもとに環境は用意できるでしょう。
Windows
おいらはWindowsでやることにしました。サーバにWindowsってどうなのさって気もしたけど、案外いじってみると面白いです。
ACMとかIEEE Computerの学生会員だとMSDN Academicからマイクロソフトの製品を無料で入手できます。これは卒業後も使い続けていいことになっています。ただし、不届きものが学生を名乗って不正にソフトを手に入れたとかなんとかでWindows 7が手に入りません。しかたなくWindows Server 2008 R2を使うことにします。
Windows Serverのほうがサーバ向きだろうけど、何かと面倒臭いのです。例えばMPEG2のDemultiplexerがないとか。あと、これは好意的に評価しているけど不要なサービスはデフォルトで止まっていてWindowsならではのお節介が少なめ。その代わり必要なサービスは自分で起動しないといけません。
その他のソフト
TVTest
TV視聴はTVTestを使います。そのためにBonDriver各種が必要です。BonDriver PT-STの人柱版を手に入れてきて設置。細かいところはググれば出てくるのでそちらを参考に。注意点としては格好付けて64ビット版を使わないこと。いくらMPEG2デコーダをインストールしても出てこないので途方に暮れていたけど、32ビット版ならちゃんと出てきました。
TVRock
録画にはTVRockを使います。番組表を外部から操作したり多機能です。またCPU負荷やネットワーク使用率に基づいてスリープしてくれたりしますので省電力にも貢献します。予約録画の時には正しくスリープから復帰して録画して、必要がなくなったら眠ってくれます。
外部から予約をするにはファイアウォールを正しく設定する必要があります。
マジックパケット
眠っているときは番組表を呼び出したりできないので、Wake on LAN機能を使います。これはマジックパケットという特殊なパケットを送るとサーバが目をさますというものです。外部からマジックパケットを送れるようにルータの設定を正しくすませておきます。
外部からのアクセス
外部から操作するためにリモートデスクトップ、WebDAV、FTPなどをONにします。
BonTSDemux
録画した生TSをインターネット越しに見るのは難しいのでエンコードしてやります。TVRockからはBonTSDemuxが便利です。TVRockにコマンドとして登録しておけば録画後に自動的に小さくエンコードしてくれるのでそれをネット越しに見ればOKです。
Air Video Server
Air Video Serverも便利です。ただしTSファイルを食わせると何故か音が出ない問題があります。ググると同じ問題で困っている人がいるけど、具体的な対策はないみたい。TSを正しく処理できるffmpegを使うことがよさそうだけど、Air Video Serverではカスタム版を用いているため、コマンドライン引数がないよって怒られてしまいます。
自分でffmpegのカスタム版をビルドしてもいいのだけど、面倒なのでffmpeg.exeという名前のEXEファイルを自分で書きます。内容は本物の最新版ffmpegにそのまま投げてやるだけです。ただし非カスタム版のffmpegが処理できないオプションはカットします。たぶんこれでOK。まだ試していないけど。
これはDLLインジェクションという手口のうんと単純なやつです。
Windows Media Service
これから試します(再起動を要求されているので今は再起動できない)。
まとめ
とりあえずこれだけすれば、PT2を使ってテレビ番組を録画し、必要に応じてトランスコードするサーバができました。電力不足のご時世なので必要のないときまでサーバが動きっぱなしは避けたいので適切にスリープと復帰の設定をします。外からサーバを操作したり、予約録画を入れたり、映像を視聴するときにはマジックパケットを使ってサーバをたたき起こす設定をします。
あとはWindowsがフリーズしたりしなければ海外にいても日本のテレビ番組を視聴することが可能になります。とりあえず今は両親がいるからサーバを再起動してと頼めばいいのだけど、だいぶ先にはもっと自動化が進むか、あるいは下らないDRMをやめてくれることを願うばかり。
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