この制度は親心らしい
DQN滞納者対策かと思ったけど
このため、機構がつくった有識者会議が今年6月、信用情報機関の活用を提言。滞納者に過剰な貸し付けをさせずに多重債務化を防ぐことは、「教育的観点から極めて有意義。また、返還能力の確保につながる」としていた。
ああ、なるほど。奨学金の返済もできないほどの貧困世帯が、サラ金消費者金融に手を出して破滅しないように、親切に通報してやるという親心サービスなのですね。心にしみます・・・なわけない。
こういうことを言い出すのは、消費者金融なんかに縁のないお金で苦労したことのない人の戯言です。お金に苦労しない人は偉いのかというと、単にいいポストに就いているだけということもあります。つか、有識者なんてのは大抵は運と環境だけでポストを得ている世間知らずじゃないかと。
高度成長期に青春時代を過ごし、仕事なんて大学を出れば自動的に条件のいいものが見つかると思っている精神年齢の低いロートルで、しかも自分を「今の日本経済の地盤を作った功労者」と思っていたりするともう最悪ですね。明け方までサービス残業する職場が溢れているワーキングプア社会を作った張本人は、ぬるま湯職場(ほどほどの仕事量で労働組合に守られ、権利の主張ばっかり一人前)しか知らない世間知らずです。
真っ先に頭に浮かんだのは雪印乳業の社長です。石川元社長の「君ねぇ、そんな事言ったってねぇ、私は寝てないんだ」は蓋し名言。言い返した「こっちだって寝ていないんだ」もよく言った。でも、たぶん伝わってないんだろうな、苦労知らずのおっさんには。このおっさんが特殊なんじゃなくて、この世代はだいたいこんなもんだと思いますよ。
私はニートだけど、運良く就職した友人も生命保険会社で月320時間労働(160時間残業、残業代なし。土曜日は出社して当たり前)で早々に仕事を辞めました。別の友人もそこまでじゃないけど、毎日カプセルホテルに寝泊まりして、精神を壊して休職中です。これ、フィクションの話じゃないんですよ。
そいつらが何か変なことを考えるとワーキングプアは死ぬしかない。
富裕層DQNの場合
まず、返済できるけど馬鹿らしいから返済しないDQN滞納者を、大雑把に「余裕で返済できるけど、馬鹿らしいから返済しない」タイプと「何とか返済費用は捻出できるけど、他に優先度の高いものもあるから返済しない」というギリギリタイプに分けます。前者はそもそも消費者金融なんか利用しないので意味ないです。まあ、住宅ローンくらいは将来借りるかも知れませんね。
ただ、サブプライムで土地価格暴落しているのを見れば分かるように、不動産リスクを背負い込むってのはどーなんでしょうね。伝統的価値観の人だと、家を持って一人前みたいな考え方をするらしい(身近な人を観察するとそんな感じ)だけど、新人類はそう考えないようです。一生賃貸でいいと言う人も。
こういう層にはクレジットカードを作れないのはダメージかも知れません。というわけで、一定の効果はありそう。
単なるDQNの場合
で、後者のワーキングプア一歩手前の人はあれですね、消費者金融を使うかも知れませんので、これは嫌がらせとしての効果はあるでしょう。正当な督促に対して「嫌がらせ」というのもなんだけど、本質はそうなので、思い切って書いちゃいます。これも一定の効果あり。
ニートの場合
ニートやワーキングプアの場合は、消費者金融を使えないようにするというのは、これはいいかも知れません。ただ、消費者金融も完全悪というわけではなく、上手に使えばそれなりに便利なものらしいです。使ったことないですが、友人のフリーターはよく使っています。彼はしょっちゅう、水道を止められたり、電気を止められたりしているので、一時的な資金調達をするには便利なのです。
信用力の毀損=死
現在の信用収縮は信用情報が毀損することによって、今まで貸し出しに回っていたものが一気に逆回転します。よく多重債務者がやっているのですが、返済のためにA社から借りてB社、C社、D社に返済しているとします。この時点では返済実績がありますので、泥沼に片足突っ込んでいると言ってもまだ「優良顧客」なのです。
が、信用機関の情報を見て多重債務者であることに気づいたA社が貸し出しを止めると、他の会社への返済ができなくなります。これによって、一斉に回収に動き始めますが、お金なんかありゃしない。信用機関にグレー認定を受けているので、もう他のところで借りることはできません。課してくれるのは闇金くらいのもんです。
こうして、年利100%とかとんでもない闇金に手を染めて人生の破滅を迎えるわけです。A社が融資を止めなければ自転車操業を続けて、定職に就くまで持ちこたえることで、無事に全ての負債を完済することができたかもしれないのに、融資を止めたばかりに破滅につながることも日常的にあります。
中小企業の破綻
中小企業は自己資本比率なんて0みたいなところもあるので、銀行が融資を止めるとすぐに倒産になるところもあります。融資が回っている間は、ちゃんと回転しているはずの健全な中小企業も融資ストップで倒産します。ニートと中小企業を一緒にするのも問題ですが、自己資本の少ない人にとって融資は命綱です。
社会的弱者は死んでもいいのか
社会的な知識というのは意外と大事なもので、それを知っていると助かることもあります。生活保護の取り方でもいいし、ブラックに勤めているのなら労基署にたれ込むとか、本当に色々な手続きがあります。でも、本当に困っている人はそうした知識も持っていないことが多く、利用できずに死んでいくわけです。
イエーリング的に言うと「権利の上に眠るものは保護されない」なのでしょうけど、社会的な弱者はどんな権利を持っているかを知らないし、知っていても行使の仕方がわからない。
DQN滞納者への爆撃で、誤爆をしないように十分な通達はして欲しいものです。信用機関に照会だけして、住所を突き止めたら返済猶予もできることを通知して、十分な時間の末にブラックリストに載せるとか、そうした配慮は必要です。
ともあれ「有識者」とかいう世間知らずや官僚を中心にこういうことを決めるのは危険です。
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