朝日新聞に「親の年収が大学進学率左右 200万円未満は28%」という記事がある。
年収200万円未満の家庭の高校生の4年制大学進学率は3割に満たず、一方で1200万円以上の家庭では倍以上の6割強に——。東京大学の大学経営・政策研究センターが調査したところ、保護者の収入が多くなるほど右肩上がりに大学進学率が高くなることが確認された。国公立大では所得による差はあまりないが、私立大への進学で大きな差がついていた。
国公立大では所得による差はあまりないと釘を刺されているけど、確かに有名大学に進学する学生の親は必ずしもリッチではないし、そもそも親の支援を得ていない人もちらほらいる。在学中の経済問題に限って言えば、国立大学は案外恵まれていると思う。それでも昔に比べると授業料負担はずいぶん大きくなっているそうだけど。おいらの親世代だと国立は学費は非常に安かったそうだ。最初の問題は学費の問題。
もう一つの問題は学力が身につかないということ。所得が低いと塾に通えず結果として学力が高くならない。これは国公立も私立もなく、学力が付かないのだから大学に入れない。
ところで年収200万円未満って、これは一人暮らしであっても裕福とは言えない水準だと思うよ。時給1,000円で週40時間のフルタイムで働くと年間1,920時間労働で192万円である。つまり、おいらのバイトをフルタイムにするとこのくらいの年収になるわけだが、これでは自転車操業である。都心にワンルームマンションを借りていたら足が出そうだし、何とかやりくりしていてもお金の余裕がない。突然病気になったり、あるいは何か不時の出費(突然洗濯機が壊れたとか)のための貯金を作るのも困難だ。これではとても子育てなんかできるとは思えない。親の持ち家に三代で住んでいるとかでないと無理だと思う。

グラフを見ると4年制大学の進学率はほぼ右肩上がりだけど、これは一緒に考えてはいけない2つの問題を1つに無理矢理まとめていると思う。1つはそもそも生活が苦しい層。もう一つは一定以上の可処分所得がある層。後者の場合は進学云々は本人の適性によるところが大きいんじゃないかな。
つまり、勉強向きの親が高度成長時代には高い収入を得る傾向にあり、その子供は勉強に向いていたというそれだけの話ではないかと思う。念のために、別に勉強ができることが偉いと言うつもりはない。おいらはどっちかというと、子供の興味に無関心で、猫も杓子も詰め込み教育・大学進学という流れは反対である。大卒でなくても職能があれば適正な年収が取れる社会が望ましい。
話を戻すけど、もしグラフの真ん中より右が、勉強できる親の子は勉強が得意というだけのことならば、30年後に同じ調査をしたらグラフの中央までは右肩上がりでも、そこから先はどういう形になるかわからない。最近は高学歴でもワープアが珍しくないのだから、年収と親の学力があまり関係なく、結果的に子供も勉強が好きにならないかも知れない。レジャーランドとしての大学にはお金があれば進学するかも知れないが、よくいう「東大生の親の平均年収は1,000万円」というのはなくなっていると思う。
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